第三回 「少年は妄想する。」
「ええっ!?」
一瞬、自分がどこにいるのかすっかり忘れて声を上げてしまったトーマスは、自分の声に同調して驚きの声を上げてしまったクリスと目を合わせることになった。
「あ、も、申し訳ありません……」
「いや、こちらこそ……」
ごほ、と顔を赤くして咳払いをしたクリスは、疑念のこもった視線を己の軍師に向けた。
「サロメ、分かりやすく説明してくれないか。そ、その……ミスコン、というのは、どういう意味だ」
トーマスは、再びクリスの執務室に引き返してきていた。クリスと二人で、サロメの「案」を聞くことになったのだが、その突飛とも思える提案に、二人とも戸惑いを隠せずにいた。
対するサロメは、落ち着き払った様子で説明を始めた。
「この所、この城では滞在者が増加し続けております。以前に比べると、御婦人方も少しずつですが、増え始めているようです。そこで、